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5月第4週の例のアレ

 3週目は力尽きました

5/22
■変態さん! 下川耿史 ちくま文庫
 まあタイトルの通りなんでしょうけど、帯に「面白くて、哀しい昭和のスケベ人生」と書かれているのがおかしみとノスタルジーを誘います。目次等々から抜粋すると、女性に相撲を取らせて興奮する人、女性の切腹で興奮する人(勿論本当にかっさばいてはおりませんが)、ふんどしフェチ、チン型コレクター等々極まった性癖が諸々出てきて圧倒されますね。
 女性×相撲がタマンネって言ってる方々は嫌がってる女性にまわしを締めさせるのに興奮するとか、それがだんだん相手の方でもクセになってくるのがいいのだとか、女性二人に試合させて自分は行司やってるのが興奮するだとか、あまりにも婉曲過ぎてそれはどこにいくんだと思ってしまうものたちがたくさん出てきます。まあまわしについてはSMの一形態と本文中で説明されてて、まあそういうことならと思ったりしましたが、冷静に考えればSMも大分婉曲なところがないか、やはりまだよくわからないな、と思い直しました。変態の世界は奥が深すぎます

5/23
■世界禁断愛大全 「官能」と「耽美」と「倒錯」の愛 桐生操 新潮文庫
 本当は恐ろしいグリム童話で有名な著者の本。なんというか、そういう方向性の作家なんですね。世界的に有名な作家や犯罪者の持っていた、同性愛とかロリータ・コンプレックス、近親相姦やカニバリズムといった性癖について、具体的なエピソードを交えながら紹介をしていくと言う本です。最初に語られるのはオスカー・ワイルドで、なかなかこの方も絶倫というか手が早いというか、いろいろな美少年をとっかえひっかえ賑やかにおやりになっていたのだそうです。最終的に彼を破滅へと導いたアルフレッドと、対照的に最後まで献身的だったロバート・ロスのエピソードが同時に語られるのが印象的でした

5/24
■アイアムアヒーロー THE NOVEL 小学館文庫
 同名の漫画に関して当世の人気エンタメ作家が競作したもの。公式二次創作! 非ラノベ作家が書くラノベ! ということで大興奮しながら読みました。なお原作は1巻しか読んでない模様。朝井リョウの作品だけ読みましたがとても良かったです。原作との距離感が素晴らしい。二次創作かと言うと割とグレーな位置ではある気がしますが、自分は好きです

5/25
■BLAME! THE ANTHOLOGY ハヤカワ文庫
 最近映画公開の始まったシドニアの騎士の人の古い作品のアンソロジー。まえがきの文章で日本SFを牽引する作家として各著者の名前が挙げられているのですが、その中に九岡望が入ってるのちょっと笑いました。将来的には十分あり得そうだけどまだ早いやろ……。SF界隈は最初からラノベレーベルをSFとして扱っているものなのかな?
 で件の九岡望の作品を読みましたがむちゃくちゃ面白いですね。電撃で出てるいくつかの作品とは違う魅力があります。地味な設定を堅実な文章でじっくり読ませていく感じで、しかも退屈な書き方ではない――かなり好みのやつです。
 他の名だたる著者の作品もぱらぱらめくりましたが困ったことに全部面白そうです。読むの楽しみ

5/26
■雪の鉄樹 遠田潤子 光文社文庫
 書店で熱い煽りがついていたので気になって買いました。著者略歴見たら第21回日本ファンタジーノベル大賞出身でおおこんなところでも出会うかって気分になりました。中身は意図的に情報が隠されたまま進む形式で、2回読むのが推奨されてる感じですね。登場人物がそこそこクズ揃いで割と憂鬱な設定が続くので気が滅入りますが、殺人鬼フジコの衝動あたりのいわゆるイヤミスほどに露悪的ではないので読み進めるのはそんなにしんどくはなかったです。
 珍しく読み終えましたが、主人公の善意についての扱いが肯定的だったのか否定的だったのかよくわからなかったのと、微妙に超展開気味なところがあるのと、少なくとも一人作品から放り出されている奴がいるのが気にかかりまして、どういう意図でそういう話になったのかじっくり考えると色々楽しめたり得るものがあったりしそうだなと思います

by alt_plus | 2017-05-28 11:30 | 小説とか読んでみたり
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